SHALIMAR -愛の殿堂-
Yの悲劇



「でさ~、最近縄張り変えたのかゴミの被害が少なくなって助かったよ」


「こないだ近所の公園で集まって会議してましたよ」


「えー、縄張りについての相談とか?」


「ヤツら周到スからね。大家さんに言ってゴミ避けネット二重にしてもらいましょうか」


俺の目の前で、俺の親友タケと、その(美しい)隣人、由紀恵さんはさっきからカラスによるゴミ荒らし被害について語っている。


ちょっと前までタケは由紀恵さんに熱烈片思いしていて、ようやくお付き合いできて、しかもお互いの家に行ったり来たりしてる仲だってのに


セックスはおろかキスすらまだだし、し・か・も!


会話が全然宜しくない!!!


何故!


何故なんだタケ!


こんな美人でしかも年上相手に何もたついてる!!


俺なら速攻で手が出るが。


「やっぱ新聞紙でガードするのが一番だよね」


って、まだゴミ被害について語ってるし……


今、俺は由紀恵さんが夕飯を作ってくれると言うからタケが誘ってくれて、こいつの部屋に居て彼女が作ってくれたグラタンを食ってる最中。


由紀恵さんは料理上手なのかグラタンうまいけど…でも食事中にゴミの話をされても。


もっとさぁ色気がある話しろよ。


と言う意味でタケを影でこっそりつついても当のご本人は頭に「?」マークを浮かべて首を傾げるばかり。


まぁタケは彼女がこれがはじめてだからな。しょうがないっちゃしょうがないけど。


でもそんなのんびりしてると、由紀恵さんがタケに飽きてポイって、それこそゴミのように捨てられちまうぜ?


って、由紀恵さんが本名なのかどうかも俺には分からないけど。


タケに聞いてもそこだけは教えてくれない。


俺なんかに気安く呼ばれたくない?って感じか?


まぁいいや。


タケの恋の行方も気になるけど、今は自分が精一杯。


由紀恵さんとタケとの食事会の三日後、俺は大本命!のミスウェンズデイと初のデート♪♪




< 96 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop