BLACK TRAP ~あの月に誓った日~

「これからはずっと、七瀬のことを守るから。
……だから、嫌わないで。俺のこと」



藤川の瞳が揺れている。

まるで私に嫌われるのを怖がっているみたいに。


普段の自信たっぷりな彼からは考えられない表情。

今にも捨てられそうな、子犬にすら見える。



藤川は、いつも危ない目に遭う私を何度も助けてくれた。


──もしかして、藤川は。

過去の贖罪のために私を守ってくれているの……?


私に傷をつけたことを悔やんで……。




「嫌いにはならないよ。この前みたいに私を助けてくれたこと、感謝はしてる」



正直、距離を置きたい気持ちはあったけど。

目の前の弱った藤川を見ていたら、ほだされたというか。

守ってあげたいという、変な気分が湧き起こっていた。



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