先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
そういえば、前に河合先輩が再結晶の実験をしていたような気がする。あの時は、水溶液を冷やしていた。

あと、個体と液体を分けるということもしていたっけ。ろ過していた。

「ま、勉強頑張れよ!質量パーセント濃度も求められるようになっときや!」

杉田先生はそう言って図書室を出て行った。あの先生、何しにここに来たんだ?何か本を借りたとかではないし…。

少し不思議に思った。



「水溶液の区別は?」

「酸性、アルカリ性、中性!」

「酸とアルカリの水溶液を混ぜ合わせると?」

「塩と水ができる!水素イオンと水酸化物イオンが結びついて水ができる反応を、中和!」

「酸性、アルカリ性の強さを表すのは?」

「pH!」

放課後の部室には、問題を出す河合先輩と答える俺の声が響く。

化学では、友永にいいところを持ってかれっぱなしなので、特訓をしてもらっているところだ。

友永ばっかり星野先輩に褒められて、モヤモヤイライラが半端ない!星野先輩に笑顔で褒められるのは俺だけでいいんだ。

友永は、まだ部活に来ていない。まあ来なくても別にいいんだけどさ。星野先輩は放送で呼び出されて部室を出て行った。

部室にいるのは、俺と岩井先輩と河合先輩だけ。

「透、酸性とかアルカリ性のことがイマイチよくわからないんだけど…」

岩井先輩がそう言うと、河合先輩はすぐに説明を始めた。

「水溶液中に水素イオンがあったら、酸性。水酸化物イオンがあれば、アルカリ性だよ。pHでは七が中性で、ゼロに近いほど酸性が、十四に近いほどアルカリ性が強いんだ」
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