クールなイケメンドクターに拾われましたが溺愛されるなんて聞いてません!


「下の名前でいい」


「……直生……先生ですか?」


「ああ。スタッフはみんなそう呼んでる」


「わかりました」


直生先生か……なんだか少し恥ずかしいな。

照れないように呼ばないと。


「さて、食べ終わったら行くぞ」


直生先生は皿とマグカップを持って立ち上がった。


「どこか行かれるんですか?」


「お前の住んでいたアパートに決まってるだろ。荷物、まとめるんだろう?」


「っ!?ひとりで行けます!JRカード、まだ往復できる残高ありますし……」


「ふたりでやったほうがはやい。それに車のほうが楽だろう」


「で、でも……」


直生先生、せっかく仕事が休みなのに、わたしなんかに付き合わすなんて……。


「今後俺がいうことを拒否するな」


「拒否してるわけじゃ……」


「人ひとり養うくらいの給料ならもらってる。この家の家事は任せるし、衛生士の空きができた医院にも入ってもらう。それ以外のことは俺に甘えておけばいい」


説明がつくといえばつくけれど……。


「わかったか、香乃」


そう告げて、皿とマグカップをキッチンのシンクへと持っていった。


いきなり下の名前で呼ばれたことにまるで高校生みたいに胸がドキッとして、じわっと頬が熱くなるのを感じた。

それが余計に恥ずかしくて、ごまかすように「はい!」と返事をして残りのサンドイッチを口に詰め込んだ。

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