アブナイ王子様たち

ひとりになった瞬間


アスファルトに雨が強く打ちつける。


人の声が聞こえないくらいに降る雨が、私の持つ傘に思いっきりぶつかった。


最悪な天気となった真夏の昼さがり、私は喪服を着て傘をさしていた。


今日は葬儀だ。


しかも、私の両親の葬儀。


数メートル先にあるふたつの名前を見て、私はたまっていた涙を流した。


ポロポロと目からこぼれた涙はとどまることを知らず、どんどんこぼれていく。


と、不意に風が私のほうに強く吹きつけてきた。


ギュッと目をつぶるが、目をつぶっても風と雨粒は、私の顔や足にぶつかってくる。
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