アブナイ王子様たち
それはたぶん、今まで我慢していた自分から解放されたからだろう。


「……ごめん、翔兄……」


「は?


なんだよ、いきなり」


突然謝る匠くんに、きょとんとする翔さん。


もし私が、翔さんの立場だったとしても、翔さんと同じ行動をとっていたと思う。


「俺……翔兄の前で、無理をしてた。


元気じゃないのに、元気なフリをしたり、わかんない問題があるのに、問題、全部わかるって言ったり……」


問題?


問題って……匠くんの高校の授業で出される課題のことかな。


私は、今は学生じゃないから、よくわからないけれど。


心の中でそうつぶやく私を尻目に、翔さんがふっと笑った。


そして、匠くんの頭を撫でる。


「バーカ、無理すんじゃねぇよ。


俺の前で無理する必要なんてねぇよ」
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