我が儘社長と不器用な2回目の恋を



 夕映は南から視線を逸らしながら言葉を紡いでしまう。夕映は南には斎の事を話しずらかったのだ。
 状況が変わった今も昔も。

 
 「夕映ちゃん、斎くんと何かあった?」
 「え………。」
 「夕映ちゃんがあの飲み会から、少し雰囲気変わったから。幸せそうというか、満たされてるように見えてたから、きっと斎くんと恋人に戻ったのかと思ってたんだけど……。」


 南の想像もしなかった言葉に夕映は驚いてしまった。
 南がそんな風に自分を見ていたこと。そして、それを夕映に言うこと。
 南は斎の事を、もう好きではないのだろうか。

 夕映は複雑な思いで、言葉を出せずにいた。
 すると、その様子を見て何かを察知したのか南はまた口を開いた。


 「やっぱり、斎くんと何かあったんだね?」
 「な、何にもないよ?付き合い直してもいないし。」
 「………それって、私が斎くんの事好きだったのが理由じゃないよね?」
 「ち、違うよ!私はあの頃も斎が大好きだった。だから、南ちゃんが告白しても別れるつもりなんてなかったよ。」
 「………でも、あの後すぐに夕映ちゃんは別れたよね。」


 先程までの和やかな雰囲気はどこかにいってしまい、今はピリピリした空気が2人を包んでいた。
 

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