好きって言ってよ、ばか。
そんなことを考えながら眠りに落ちていこうとすると。


コンコン。


「……」

今、なんか鳴った?

いや、気のせいだよな。
眠いし、寝たい。


コンコン。


「……」

また、した!

しょうがないのでよろよろと身を起こしてベッドから這い出る。

「…明梨…?」

ドアの向こうから声が聞こえる。

寝ぼけなまこでドアノブをひねった。

「律だけど…」

「知ってるわ!!」

家には今私とあんたしかいないわけ!

そう…律、しか…。

目の前にいる男の子に釘付けになってしまった。
律のティーシャツ姿。
パジャマ!って感じもしない、でも寝る時の服。

…なんで、何も意識しないの?

私ばっかり意識してさ。
そういうのってずるいよ。

「そんで!どうしたの!」

眠りを邪魔されたのでかなり不機嫌な私に怯むこともなく、律は私の袖をぎゅっと掴んだ。

「……一緒に、寝よ?」


・・・?


一緒に寝よ?
イッショニネヨ??


その意味を理解するや否や、私はずしゃっと後ろに飛び下がった。

「はあ!?あんた何言ってんの!?バカなの!?」

「ちょ、明梨」

「やっ、まって!離してええぇ!!」

ぐるぐるおめめでどうにか律から距離を取ろうとする。
やだ、私襲われるの!?
やっぱこうなんの、年頃の男女が一つ屋根の下にいると!?
避けられないの!?

私の貞操が…っ!!
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