👑Emperor bride

明蘭を探せ。

チャンクはアルフレッドに、
別れを告げ
そのまま、琴乃の待っ山頂の
ヨンスンの家へと向かった。


「チャンク。」

琴乃が立って歩いていたので

「オーオツ!」
チュルル、チュルル、チ"-ヂイイィ
鳥の響き渡る声よりも高く
叫んだ。

「バアーバァ!琴乃。」

向こうから張蘭が走って来る。
スッカリ山の生活に溶け込み
青白い肌も今や真っ黒に
日焼けしていた。

「みてみて、どんぐりだよ。」
小さな両手には傘をかぶった細長い
ドングリや、丸いドングリが
飴色の艶をだし輝いていた。

下から覗き込みにっこり
笑う張蘭をみて?

  「この子は?」

とチャンクが、きいた。
朝早く来るか夜寝入った時に来る
チャンクと張蘭は面識が無かった。

自分の事を聞かれサーッと
血の気が引いた張蘭は、
プルプルと震えドングリを落とした。

琴乃の後ろに回り琴乃の、お尻に
顔を埋めた。

「キャハハ張蘭やめて、張蘭! 
 くすぐったい。」
 
しかし張蘭の震えが伝わり

「大丈夫!この人私の微妙だけど
彼だから。」
張蘭はチラッと琴乃の後ろから
しっかりとスカートを
掴みのぞいていた。
黒く澄んだ小さな目は犬のように丸く、
しっかりと見据えた。


「どうした。?
 私にはドングリを見せては
 くれんのか?」


ニンマリと笑うとポケットの中で
ゴソゴソと掴み
ドングリを目を、離さず、
見据えたまま右の手を開いて、
チャンクの手にわたすと
直ぐ琴乃の背後に素早く回った。


「この人は大丈夫よ。
 女にだらしないかもだけど!」

「なっ、なに言うんだ、
 まだ嫁も側室も居らないと
言うに!!」

「今はね。
 第一夫人、つまり本妻を持てば
 ハーレムを作るつもりのくせに。
良く言うよ!」

「そっ、それは…。」



「ほらぁ否定出来ないんだから。
 もう怪我も良くなりました。
 殿下の手を煩わせることなど
 申し訳なく思っております。

 ですのでもう

お見舞などお気をつかわれませぬ
    よう。」

琴乃は遠まわしに

 「もう来なくていいよー。
来るなよ〜。」

と言ってみた。

 
スカートの端っこを持ち上げ
静かに頭をさげた。


するとカワンさんが現れ

「殿下あちらに、お茶を
用意致しました。
すこし、お話しが御座います。
 どうぞ…。」


「いっもカワンの紅茶は、
香りが強く
 旨い。
 心からホッとするよ。」

「腕には自信がありますが
 殿下には特別美味しく
 仕上げておりますよ。」

カワンは、殿下の前に一枚の絵を出した。

「これ…は?」

「張蘭の母親のだそうです。
 殿下がお作りになり、琴乃に
お渡しになった物そっくり
なのです。」

「ああ、確かにその母親は
 居るのか?」

カワンはクビをふり
張蘭と琴乃のいきさっを
全部話した。

張蘭の母親の名前が明蘭と言い、
ナチリコ国の入り口で母親を探し
回っていたこと、
母親の行方が分から無い事。

張蘭が女の子だと言う事も。
しかも何となくエドワードに似てる
と、思うと。

小さい頃のまるっとした手や、
何より小さい頃のエドワード様
なのです。

張蘭を、一目見たときヨンスンも
そう言いました。
ヨンスンも私の様子を時折見に
御屋敷に来ていたそうです

明蘭様にもよく菓子を渡していたから面識もあったのです。
< 45 / 74 >

この作品をシェア

pagetop