👑Emperor bride

愛情

その日、姫が国入りをした。

しかしベールで姿を隠され
報道陣を避けて城に入った。

チャンクは琴乃が消えた物置から
抜け出せないでいた。
一日中そこに座ったまま、動かな
かった。

勿論渡りもなく、愛しすぎた
愛しい琴乃の胸内を思い泣いて
いた。

「愛情の無い婚姻なんて、
何の意味がある。
俺は琴乃だけで良かったんだ。


あの日琴乃の泣き声を聞いたのに
国の安泰を取ってしまった。

何の意味がある...。
もっと琴乃の気持を
優先させるべきだった。」

残ったのは二度と手に入らない
硝子の心が割れた事実

琴乃..を失った事実ーー‼


「お前だけを、ただ一人を
愛しているんだ。」
涙声でポッンと呟いた。

チャンクは、消えた鏡の跡に
ひれ伏してなきじゃくり後悔の念
に苛まれた。

何年も何年も待ち、やっと会えた琴乃。

「愛してる、愛してる、愛してる。
お前だけだ。
嘘は無い。

チャンクの泣き声は高く高く響き
チャンクと琴乃を知る者達も
泣き崩れた。

愛らしい琴乃の笑い声はもう
聞けない。
彼女が去った後は静かすぎる程
静まり帰っていた。

三人衆が見張りに立ち、誰も入れ
無くしていた。
三人衆の嫁達も黙ったまま、
小屋の入口まで来て涙に耐えていた。


夫達もただただ首を振るだけで
何も言わない。
殿下の泣き声は止むことはなかった。


チャンクは1週間過ぎても食さず、
憔悴していった。
うわ言のように琴乃の名を呼び
見る見る身体は力を落としていった。
王も后も満ちてくる暗雲を感じ


「こんな事なら、
こんな事になるなら
2人を添わせてやるべきだった。
愛し合っているのは、私達も
苦しいほど知っていた。」
と後悔していた。

チャンクに代わってエドワードが
国を守っていたが、チャンクの
病を聞きつける者が現われた。


ルナ姫は御国入りしたものの
琴乃の事を溺愛していたと知る
やいなや、ガックリと項垂れて
いた。

チャンクに愛されていると思い、
喜んで国入りしたのに、なんて事だ。

チャンクにも会えず...

渡りもなくパレードも延期になり
チャンクの体調不良を言い訳にして、国に帰っていった。

相当の配慮金が、支払われ
急な病とゆう事で、
報道され回復の見込みがたたないと
婚姻は破棄された。

どうしたものかと官僚や、三人衆
エドワード、ハリーは悩んでいた。

いつ、戦を仕掛けられてもおかしくない。

するとエドワードに張蘭が言った。
じっは、張蘭はあの日、チコと
お菓子を取りに異世界なる日本に
来ていた。


あのベッドの下にお菓子を持ち
込んだのはチコでは無く
張蘭だった。

不思議な世界の事に夢物語と
言って皆笑ったが、琴乃がどこから
来たのか誰も知らなかった。
そして、物置に入ったのは何人
かは見ているのだ。

それなのに琴乃は...消えた。

白魔術師を呼び出し
方法を、教えて貰うことにした。
取るすべがないのだから、
張蘭の話を前提に事を起こさ
ないとマノリラ国は滅亡へと
舵を取る事になる。


何人もの人がエドワードや明蘭、
張蘭と同じ辛い体験をする。

それは張蘭が経験した辛い戦
子供、老人も例外無く殺される

人が死んでこその勝利なのだ
避けなければ、頭にはそれしか
無かった。


琴乃を連れ戻す!
チャンクにその話をしたら、
みるみる回復をしてきた。
希望が指したのだろう。

白魔術師が言うには
諦めるのは、早うござります。

琴乃様は割れた鏡の1片を持って
おられます。

琴乃さまの世界にはビックムーン、
十五夜と呼ばれる日がありまする。
鏡はことごとく割られもう
修復は鏡の欠片も
此方にはないから無理であります。

此方に一欠片でもあればなんとか
なるものを...

しかし琴乃様の家にはこの世界と
繋がりたいと言う念がある。

多分琴乃様がまだ未練を断ち切れ
ていない。
一欠片の鏡が琴乃様の生家に
ある限り何とかなりましょう


琴乃様の体からチャンク様を想う
気持ちが引き付けておる。

厚化粧に抜かりの無い魔術師は
何歳か分からない。
化粧ケバく、まつ毛長ー
白いドレスに、ぷっくらした体つき
かなり歳いってる気がするが、

死ぬのを忘れてるくらい元気だ‼
そして、その赤いプルリンとした
唇で言った。

2人は硬い絆でむすばれておる。
想いあっておるから道はできる
やもしれぬ。


こちらが8月13日
あちらの世界が9月13日

この日道ができる。
連れ戻すにはこの日をおいては無い。
道の場所は本人達にしか分から無い。
いつ開くやも今では分からぬ。

時は動き出した。

2人が月を見て想う事が道と
なる故...
満月の夜、道が出来る‼️

今は時を待つしかござりませぬ。



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