三月の向日葵






毎日毎日、薬漬けで嫌になる。



白い箱の中、ベッドの上で天井を仰ぐ。


腕に繋がれたチューブには
休むことなく水分が送り出されている。


耳をすませば、パタパタと足音が聞こえてくる。



この世界には一体、何があるんだろう。


私の人生、とてもつまらない。


だってこんな場所に閉じ込められているんだもの。


「茉莉ちゃん、薬の時間よ」


「げっ。また?ついさっき飲んだばっかりじゃん」


「そんなことないでしょ。飲んだのは朝。今はお昼よ。
 ご飯も食べたくせに。はい、飲んで」


真っ白な服を着た女の人が私を促す。


ザラザラと手のひらに乗っかった薬を眺めて、
私はべぇっと舌を出した。


こんなのいっぺんに飲んだら、吐いてしまいそう。


「それ飲んだら検査があるからね」


「ええ、検査って嫌なんだよね。
 芳子ちゃん代わりに受けといてよ」


「茉莉ちゃん!」


怒った芳子ちゃんは呆れたように私の名前を呼ぶと、
はぁっとため息をついた。


あっ、紹介するね。
この人は中川芳子。私の担当看護師。


なんで担当の看護師がいるかって?
私は病気だもの。




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