輪舞曲-黒と白のcaprice-

俺自身も確信したわけではないけれど、そうとしか思う事が出来ないひとつの思案を暫定的に言葉にしていた。

「誰が質問していいなんて言ったのよ。」

カチャリ、と構える護身銃と言うに相応しい少女の小さな手にフィットしているピストルを俺の頭に突きつけようとしてくる。
相変わらず少女が使用しているのは、護身用の銃。誰も好んでは使用しないはずの戦闘には不向きで扱いにくいとされている品物だ。この暗殺者、一癖も二癖も他の同業者とは違った特性があるらしい。

「この距離なら絶対に外さない。今度こそ…あんたの最期よ」

躊躇いもなく発砲。硬く目を閉じて事の成り行きに身を任せる。もし、これが俺の想像通りなら…、まず死ぬ事はない。

「…なに!?すり…抜ける…!?」

弾丸は俺の頭を通り抜け、向こう側にあった小さなぬいぐるみに貫き、中の綿が舞い見るも無惨な姿に変貌を遂げていた。

『今の俺は死ねないよ、残念ながら。もう一度聞くね…。君は霊的な何かを信じれる性質?』

「…あんた一体…。…まあ良いわ、話くらい聞いてあげる」
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