ゼフィルス、結婚は嫌よ

あなたはストーカー?

そんな義男の風情にこちらも一瞬で鋭く感応した惑香が先の「な、なぜ…」以下を義男にはぐらかされずになおも聞いてみたかったが義男は「それよりその高山先生とのお約束は何時ごろなんですか?時間はまだ大丈夫なんですか?」と話をふった。
「え?ええ…そ、それはまだ大丈夫です。約束は(午後)5時ですから」
「そうですか。(腕時計をちらっと見ながら)じゃまだ充分時間がありますね。よかったあ。じゃ、じゃあまた審問を再開しますよ。いいですね?ははは。高山花枝先生についてですが…」しかしそれを遮るように「審問ですか。こわいなあ。ふふふ。でもちょっと待って。さっきの〝木枯らしが吹くような寒さを感じる〟っていったいなぜ…どこからそんな感じを抱かれたんですか?」
「…うーん、それは…まあ、その、感応力ということにしておいてください。あなたが〝特別な思い入れがある〟と語った時の、その、あなたの表情に、何か険しいものを見ましたもので」これで納得してくれるかな?と聞くような義男の目にしかし「ううん」とばかり微笑みながらでもわずかに頭をふる惑香。その目がなおも義男を問い詰める。義男は苦笑いをしながら「いや、これじゃこっちが尋問されてるな。ははは。いや、ですから、その、あなたの美しさに鑑みてですよ。例えばどこかの金持ちの御曹司にあなたが見染められて、仮に婚約まで行ったとして…」義男の口元に目を見張る惑香『まあ、驚いた!この人は私のあの経緯を知っている!でもなぜ?ひょっとしてこの人は探偵か何か?…い、いや、もうかなり前からのストーカー?』と心中で疑わざるを得ない。
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