桜の木の下で
仕事が終わって、桜の木の下で
待ち合わせをした。

私が菅田さんに出会った場所だ。

久しぶりに来た。
本当に大きな桜の木。
私に幸せを運んできてくれた木。

「どうした?」
「あっ、菅田さん。お仕事、お疲れさま」
「なぁ、陽夏」
「なぁに?」

私は、菅田さんを見上げた。

「いつになったら、
俺のこと名前で呼んでくれるの?」
「えっ?」

私を見つめ返して、今にも唇と唇が
触れてしまいそうな距離。

菅田さんの吐息を唇で感じてしまう。

ドキドキし過ぎて、心臓がもたない。
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