†戦慄の交響曲†
《沙羅side》


とうとう、始まった。


悠里を真ん中にして、逃げ出さないようにする。


森に入ると、急に火がつきだす。



その火は宙に浮いている。



そして、辺りの気配を探ると、20人ほどキレイに隠れている。



麗夜たちだろう。



悠里は俯いているから表情が見えない。



けれど、霊力が上がってきているのが分かった。



≪白蛇の娘よ・・・コチラヘおいで・・・≫



声が聞えた。


風が吹いていないのに、木々が葉をこすれさせる。



人々は、声のする方へと向かう。



けもの道を歩くと、見えてきた―白者神殿が



「・・・」


悠里は俯いていた顔を上げる。



≪さぁ・・・白蛇の娘よ・・・嫁入りを始めようか・・・≫



神殿の周りが黒く澱んでいる。



霊感の無い人には見えていない。つまり、私と悠里しか見えていないだろう。



でも、悠里も見えていないかもしれない。



人々は跪き、頭を下げた。



悠里が前へと出る。
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