ストーカー
玄関からお父さんのそんな声が聞こえてきて、あたしは飛び起きていた。


ただごとじゃないような声に、緊張が走る。


部屋を出て階段を駆け下りたところで、玄関に立つお父さんがこちらを睨み付けているのがわかった。


なにがあったの?


そう質問したくても、声が喉に張り付いて出てこなかった。


なにを言われるのか、その顔をみただけで理解できてしまった。


「下りて来なくていいから!」


お母さんが駆けつけて、あたしへ向けてそう言った。


そういうワケにはいかない。


お父さんがこんなに怒るなんて、きっとまたあたしのせいなんだから。


あたしは覚悟を決めて残りの階段を下りた。
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