運命ノ黒イ糸
弘明って、二村先輩のことだよね……?


そう思い、視線をグラウンドへと戻しても耳だけは2人の会話を聞いていた。


「そうなんだ! この前のクッキーのお礼?」


「うん。ラブレターの返事はもらえないって聞いたから、別の物にしたんだぁ」


「なるほど。その手があったかぁ!」


「弘明って彼女以外の子にも同じように優しいじゃん? だから絶対に脈ありだと思うんだよねぇ」


その言葉に思わずふり返っていた。


同時に、会話をしていた2人組を視線がぶつかる。


「もしかしたら、付き合ってるって勘違いしてたりして?」


そう言われて、カッと頬が熱くなるのを感じた。


すぐにグラウンドへと視線を戻す。


けれど、あたしの心臓はドクドクと嫌な音を立てている。


「あはは! そんなこと言ったら可愛そうじゃん」


そんな声と笑い声が、遠ざかって行くのを聞いていたのだった。
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