運命ノ黒イ糸
こんな糸、自分の小指に巻き付けた記憶はなかった。


あたしが眠っている間に誰かが巻き付けたんだろうか?


そう考えてサッと青ざめた。


自室は鍵がかかるから、誰かが外から入ってくることはできないのだ。


ということは、この部屋の中に誰かがいる……?


そう考えたあたしはそっとクローゼットへと近づいた。


誰かが隠れているとしたら、この中くらいしか想像できなかった。


ベッドの下は収納になっているし、窓の外に足場はない。


えいっ!


と勢いをつけてクローゼットを開くと、そこには昨日準備した制服がハンガーにかけられていた。


後はあたしの私服。


下の段を覗いてみても、見覚えのあるストーブと毛布があるだけだった。
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