運命ノ黒イ糸
高原義明
昼休みに入ると同時に、あたしと佐恵子は教室を出た。


「さて、赤い糸はどっちに向かってる?」


廊下に出ると、ウキウキとした口調で佐恵子がそう聞いて来た。


あたしは赤い糸の行先を確認する。


糸は廊下の端へ向かって真っ直ぐ伸びている。


「あっち」


あたしは廊下を指さして歩き出した。


「どうする? 運命の相手が同じ学校の人だったら!」


「そんなに調子いい話、ないでしょ」


あたしは苦笑いで返事をした。


だけど実際はその都合のいい展開を期待していた。


赤い糸の先にいるのは同じ学校の生徒。


そしてその生徒がカオルでありますようにと。
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