運命ノ黒イ糸
☆☆☆

学校の近くにあるファミレスへやってきたあたしたちは、それぞれにドリンクだけ注文した。


それほど長居はしないだろうと思ったのだ。


「あの、どうして先輩は1年の階にいたんですか?」


そう聞かれて、あたしは「う~ん」と、頭をひねった。


まさか、赤い糸の相手を探していてたどり着いた。


なんて、言えるはずがない。


言ったとしても、信じてもらえないだろう。


「新入生代表の子って、どんな子かなぁと思って」


今誤魔化すなら、この話題しかなかった。


だって、あたしと大田君の接点なんてなにもないのだから。


「そうなんですね」


大田君はあたしの言葉を信じて、嬉しそうにほほ笑んでいる。


純粋で素直な子みたいだ。
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