無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「えー!!あのイケメンさんが彼氏だったんですか!?」

「正確には、あの後彼氏になった、だけどね」

「ビックリです……でも、お似合いですね」

「ありがと」

真未の話に驚いて、落ちるんじゃないかと思うほど目を丸くしていた千夏がふわりと微笑むと、真未も自然と笑顔で返した。

「でも真未さん、私がいいなって思ってるイケメンさんがいるんです!とか、彼女らしい人とお店に来てるの見て、ショックー!!って言ってるのを聞いてたのに、すごく自然にあの人が自分の彼氏になったって言うんですね」

高校の友達とかは曖昧に誤魔化したり、逆に自慢げに言ったりしてきますよ?と首を傾げる千夏に真未はキョトンとして数回瞬きをした。

「だって、誤魔化してもいつかわかるかもしれないし、変に嘘をついた方が後からお互い気まずくなるじゃない?
それなら早いうちに言っといた方がいいと思うのよ」

「……真未さんって本当に男前ですよね」

惚れちゃいそうです、彼氏になってください。と真剣な眼差しで言う千夏に、ごめん、無理。と返すと二人で笑いあった。

朝陽と付き合うようになってからどこか満たされたような感じがして、すごく平和で穏やかな時間を過ごしていた。
このまま何事もなく過ごしていけたらいいなと思いながら、真未は焼き立てのパンの薫りに顔を綻ばせた。
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