グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「有難うございました。またのお越しをお待ち申し上げております」

 ビシッとした茶色いスーツに身を包んだ、長身の青年。

 綺麗なブロンドのショートヘヤーが、サラサラと軽やかで、ほっそりとした顔のラインに高い鼻。

 優しい口元が微笑ましく、パッチリとした可愛い目元と赤い瞳がとても魅力的。
 
 マロンディスの子供ジックニーである。

 アディールの紹介で、帝国ホテルで働き始めて5年たつ。

 初めは不慣れて分からない事ばかりだったジックニーだが、いまではすっかり板について、とても人気のあるボーイさん。

 
 住まいは城下町近くにある高級マンションを借りている。

 1人暮らしにも慣れて、仕事にもなれて、すっかり地上の人と変わらないジックニー。

 帝国ホテルも、ジックニーが来てくれたことで。お客様が非常に喜んでいるため、売り上げも大幅に上がっている。

 利用しているのは会員ばかりで、殆どが貴族や平民でもお金持ちの家柄の人ばかりで、度々、縁談の話しも来るくらいである。


 ジックニーも25歳になり、そろそろ結婚も意識はしているが、まだまだ学びたい事がたくさんあると言って縁談は全て断っている。


 
 フロントにジックニーが立つだけで、とても絵になっている。

 予約しているお客様がくると、男女関係なくジックニーに見惚れてしまうくらいである。





 今日も1日の仕事を終えて、ジックニーは帰宅する。


 ホテルの従業員通用口から外に出てくるジックニー。

 私服もセンスが良い。

 黒いコートに白マフラー、そして紺色のスラックスに黒い靴。

 見ているとモデルのようだ。

 通り行く女性は、ジックニーを見ると振り向いて二度見するくらいである。


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