独占欲強めの部長に溺愛されてます

「まだわからないようだな」


クスリと加賀美が笑う。
わからないとはなにか。


「星がそうだよ」
「……私が、なんでしょうか」
「俺の好きな子」


時間が止まった感覚だった。野々花だけ置き去りに、周りの世界は変わらずに時を刻んでいる。

その証拠に、野々花がボーっと突っ立っているうちに加賀美は距離を詰め、すぐ目の前にやって来た。


「部下に手を出すのはどうかと思って自粛してたんだけどな。俺も堪え性がないらしい」


自嘲気味に笑うと、加賀美は野々花の頭をそっと引き寄せた。加賀美の胸にコツンと額がぶつかる。

信じられない展開が巻き起こり、野々花は依然として放心状態。


「いつも一生懸命仕事する星が、いつのまにか気になる存在になってた。リッキーをダシにして会う口実にするなんてな。はっきり言えばいいのに情けないもんだ」

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