希望の夢路
第5章 悪夢の再来

突然の悪夢

悪夢は、突然襲ってくる。
―悪夢の、再来。予測不可能。
突如襲ってくる悪夢に、心愛は怯えた。
「嘘、でしょ…」
信じたくない現実が、そこにはあった。
「また、血が…」
また、下血しているのか。
様子を見るしかない。病状の悪化による下血でないことを、祈らずにはいられなかった。
しかし、事態は好転しなかった。出血は出たり止まったりを繰り返す。
それは腸からの出血を意味していた。
―ああ、またか。またあの苦しみを味わわなければならないのか、と心愛は思った。
「どうしよう…どうしよう…また血が出るなんて…」
良くなったり悪くなったりを繰り返す病気だとわかってはいても、怖かった。
下血して更に悪化していく自分の体調が、とてつもなく怖かった。

「うっ、いたたた…」激痛が襲う。心愛は、左手で痛むお腹を擦(さす)った。
心愛はベッドの中で考えごとをしていた。私は、他の女(ひと)よりも体がかなり弱い。
だから、博人さんに迷惑ばかりかけてしまう。
こんな私はいない方が良いー私は、博人さんの邪魔になってしまう。
心愛は、そう思った。
涙が、とめどなく溢れてくる。
―もう会わない方がいいー
ベッドの中で悪夢に苦しむ心愛は、次第に底知れぬ深い闇へと堕ちていった。



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