もう、我慢すんのやめた

弥一の熱が私に移ったみたいに、私の頬もどんどん赤く染まる。

だけど、


ときめいてるのとはどこか違って、どちらかと言えば私も弥一も、恥ずかしい気持ちがそうさせているんだと思う。


ずっと幼なじみだった私たちが、幼なじみとはちょっと違う関係で水族館なんて来ちゃったせいだ。


この間の遊園地は、幼なじみに戻った記念とか言ってて。だけど今日は、"デート"とか"彼女"とか、むず痒いことだらけ。


「……想像すると、面白いかも」

「あー、そういうこと言う?」

「だって、弥一ってどんなときも余裕なイメージだったから」



おかげで背伸びをしてたんだもん。

まさか弥一が、遠足の前の日に楽しみすぎて眠れないタイプだったなんて知らなかった。

そうだって知ってたら、もっと……。


違う未来があったかな?そう思ったけど。



弥一に告白出来なかったのは弥一がどうじゃなくて、きっと私の問題で。勝手に両思いだって、弥一からの告白を待ってた受け身な自分が悪いんだ。


行動すら起こさずに待ってるだけで、弥一が他に行っちゃったことを根に持ってた。


取られたくないなら、行動すれば良かったのに。

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