おじさんは予防線にはなりません
「羽坂」

声をかけられて視線を向ける。
いつものように池松さんは、後ろ向きで隣の椅子に座った。

「その。
……大丈夫か?」

心配そうにサーモントブローの下の眉が寄る。
きっと気配り上手な池松さんのことだから、さっきの騒ぎは気づいていたのだろう。

「大丈夫ですよ」

笑って答えると、池松さんもほっと表情を緩ませた。

「それからこれは、今後のために確認なんだが。
……宗正と婚約したわけじゃないんだな」

ペアリングの事情は布浦さんの口からあっという間に広がっていた。
当然、池松さんの耳にも入っているはずだ。

「私と宗正さんが婚約したら、どうするんですか」

我ながら、ひねくれた質問だ。
池松さんは仕事のことで聞いているのに。
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