かわいい戦争


皆わかるの!?

わたし、さっぱりなんだけど……。


裏って?




「表側にある階段より、裏から行けば問題なし!」


「木とか壁とかよじ登って行ったほうが早く着くし、楽だしな」


「ベランダから、入れる」


「海鈴ちゃんがマスコミを引きつけてくれるから、璃汰ちゃんを外に連れ出してもすぐにはバレなさそうだしね~」




裏って、アパートの正面じゃなく反対側ってこと!?


璃汰の家、2階だよ!?

なのに簡単に言えるとは……。


神雷のすごさを改めて実感した。



「えっと……表でも裏でもどっちでもいいけど、とにかく気をつけてくださいね?」


「カイリーも、気をつけて」


「行こーぜ。早く璃汰のイイ顔見ねぇと」



ブレない天兒さんに苦笑しつつ、フードを目深く被った。


今日パーカーにしてよかった。



汗でメイクがちょっと崩れてるだろうけど、遠目だったらバレない。



「海鈴ちゃん」



不意に未來くんに名前を呼ばれた。


何?と聞いても、続きは紡がれない。



未だ揺れたままの瞳は憂いでいっぱいで。

今の空と同じ、曇り。



「わたし、逃げ足には自信があるんだ」



だから案じないでいいよ。
大丈夫だよ。


ニッと自信満々に口角を持ち上げる。


つられて未來くんの表情も晴れにならないかな。


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