愛されプリンス½
「ほんとにありがとうございました…!」
女の子は何度も頭を下げて帰っていった。
女の子の背中を見送って、私と樹くんも歩き始める。
ほんとに可愛い子だったな…
まるで物語から出てきたお姫様みたいな。
女の私でもこんなにポーッとしちゃうんだから、学校ではさぞやモテモテのことだろう。
「すっごい可愛い子だったね~」
隣を歩く樹くんに声をかけると、「うん…」と気のない返事。
見ると、なぜか考えこむような表情。
なんか元気ないな。
「どうしたの樹くん?具合悪い?」
「あ、ううん。なんか…落ち込んじゃって」
ハッと我に返った樹くんが苦笑いする。
「落ち込む?なんで?」
「さっき…あの子がナンパされてるの見たとき、俺はまず誰か大人を呼ぼうって思った。
でも、一花ちゃんはすかさず自分が助けに行って…すげーって思ったし、俺何してんだろって…」
はぁ、と樹くんがため息を吐く。
「いやいや!何言ってんの?私はただ考えなしだっただけだよ」
いつもそうだ。その後どうなるかなんてよく考えずに、行動してしまうのは私の悪いくせ。