愛されプリンス½




「昨日家で予習して、そのままうっかり置いてきちゃったんだよね。ドジだなぁ、俺も」


ハハハ、と爽やかに笑う天王子に、キャーッと教室中から興奮した悲鳴が沸き上がる。


と同時に、「で、何で村田さん!?」という疑問の視線も感じる。



こんなところをまたファンクラブ会長にでも見られたりしたら…!とりあえずここは、とっととプリンスには退散してもらうことが先決だ。



私は大人しく机の中から世界史の資料集を取り出して、奴に差し出した。




「ありがとう」



キラキラ笑顔を振りまく天王子!




天王子は特にそれ以上私に何を言うでもなく、クラスの女子たちに手を振りながら颯爽と教室を出ていった。




そしてその数秒後。



私がクラス中の女子に取り囲まれたのは、言うまでもない…。





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