愛されプリンス½



「べっ、別に赤くなんてしてないよ!」


「バカか。お前分かりやすいんだよ」



天王子がグイッとベッドに座ったままの私の腕をつかむ。


そして眉をひそめて私の顔を覗き込んできた。



「…もしかして告白でもされた?」


「……っ!?」



図星!



「…やっぱりな」



何も言っていないのにそう断定した天王子は、乱暴に私の腕から手を離した。



「で?」


「…で?」


「なんて返事したんだよ!?」




…なぜか分かんないけど、今日の天王子はいつもに増してすこぶる機嫌が悪い。



「……そ、そんなの天王子に関係な…」


「お前あいつのこと好きなの?」


「だからそれは」


「俺のことは大っ嫌いなくせに、あいつのことは好きなのか!?」





…もしやこいつ、


こないだ私が言った“大っ嫌い”を根に持っている!?



なんかムカついてきた。


何で私がこんなに、一方的に責めるみたいな口調で。なんにも悪いことしてないのに!




「そりゃぁ好きだよ!あんたに比べたら、大大大好き!」


「…は?お前…」



ピクリと天王子の形の良い眉が動く。



「…ふざけんなよ?」


「ふざけてないよ、本気」


「…じゃぁアイツと付き合うの?」


「そうだね、樹くん優しいし大人だし、きっと付き合ったら幸せにっ、」



グイッと突然腕を引っ張られたと思ったら強く抱き寄せられた。


閉じ込めるみたいに背中に腕がまわる。



いつもよりも乱暴なハグ。




「……それは無理」



ボソリと、耳元で天王子の声がした。



「お前は俺のもんだろ」






< 241 / 420 >

この作品をシェア

pagetop