愛されプリンス½
いつもの緩さが全く消えた開人に一瞬、動揺した。
「…は?」
「なんつーかもう見飽きたんだよね、その嘘くさい笑顔」
「お前…」
「いい加減向き合えよ玲。逃げんな」
逃げる…?俺が?
「……チッ」
乱暴に開人の胸倉から手を離した。
どうしようもなくイライラして、教室の出入り口に向かって歩く。
俺に注がれるクラス中の好奇の視線。…当たり前だ、俺と開人が喧嘩すんのなんて初めてのことで。
「玲っ!」
教室を出た瞬間、すかさず妃芽が駆け寄ってきた。
「何かあったの…?」
心配そうな妃芽。
その少し下がったところで、気まずそうに立っているのは、村田。
妃芽はなぜか村田になついてるらしく、よく二人で俺の教室までやってくる。
何でよりによって村田なんだよ…。
無視してそのまま歩き出そうとすると、「待って!」とシャツの裾をつかまれた。
「これあげる」
俺に押し付けるように渡されたビニール袋。
「買ってきたの購買で。玲、パン好きでしょ?中学のときも、給食がパンの時はテンションあがってたし…」
…いつの話だよ。
中身を見ると、妃芽の言う通りパンが入っていた。
焼きそばパンにメロンパンと…チョココロネ。