愛されプリンス½




「て、天の…」


「ちょっと!!」



すかさず取り巻きの一人がすごい剣幕で飛び出してきた。



「どこ見て歩いてんの!?プリンスが怪我でもしたらどうするつもり!?」



こっわ…!


あまりの剣幕に顔がひきつる。私が何か言い返すよりも先に、「大丈夫だよ、白川さん」と柔らかい声。



さっきまでギョッとした顔をしていたくせに、いつの間にか猫を装着したらしい天王子が上品な笑みを浮かべて言った。



「俺はどこも怪我してないから。気を付けてね?」



どうやら最後は私に向けての言葉らしい。


思わずコクリと頷くと、天王子は満足げに歩き去っていった。取り巻きも不服そうながらもその後についていく。



って…


思わず頷いちゃったけど!前見てなかったのはそっちも同じでしょ!?何で私が一方的に悪いみたいになってるのー!?



時差でやってきた怒りに身を震わせていると、隣のみのりが「ラッキーじゃぁん♡」と肩を叩いてきた。




「ラッキー!?何が!?」


「プリンスに触れるなんて♡いいなぁ~私だったら一生体洗えない!」



いやお願いだから洗ってほしい。




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