愛されプリンス½





――――…



「あ~もうっっ、ほんっ…と、かっこよかったよねぇプリンス!!
あ~写真撮ればよかった!…って…一花?どうしたの?」



体育が終わり教室に戻る途中、足を止めた私をみのりが不思議そうに振り向いた。



「あー…ごめんみのり。先戻っててくれる?」


「え?何で?」


「ちょっと…寄りたいところあって。すぐ追いかけるから」


「えっ、ちょっと一花ー?」




クルリと方向転換して今来たばかりの廊下を戻った。





何してるんだろう。




廊下を進みながら、どこか冷静な自分がそう思う。




“心配”なのか、でも、それだけじゃないような…





“保健室”



そうプレートがついたドアは、少しだけ開いていて中が見えた。




“心配”


私がここに来た理由はただそれだけだ。



妃芽ちゃんが心配だから。それ以外に理由なんてない。




そう自分に言い聞かせてドアに手をかけたその時、中から二人の話し声が聞こえてきた。





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