愛されプリンス½




夜はなかなか眠れなかった。



目を閉じるとなぜか浮かんでくるから。



あの妃芽ちゃんをお姫様抱っこして歩くあいつの背中とか、




“ほっとけるわけねーじゃん”




あいつの声とか…





「…っぬぁぁ!!」




奇声と共に飛び起きた。





最悪だ。




自慢じゃないが私は寝つきが最高に良い。



試験の前日もリコーダーテストの前日も、修学旅行の前日だって、一日も眠れなくて困ったことなんてない。



それなのに。




最っっっ悪だ。




よりによって、あいつに私の大事な睡眠時間が奪われるなんて!!!





「…。よしっ!!」



気合を入れてから再び布団に潜りこみ目を閉じた。




気合を入れたせいかあいつの姿は浮かんでこない。そこにはただ闇が広がるだけだ。




…ほんと私、何でこんなに頑張ってるんだろ。




それでもすぐに眠りに落ちることは出来なくて、私は闇の中、覚醒した頭で考える。



誰かのことで夜眠れないなんて、なんか恋愛ソングの歌詞にでもありそうだよね…ははは………って。




恋愛ソング!?





「…っはぁ!?」




再び奇声と共に飛び起きた。なんだか腹筋が鍛えられそうな夜だ。





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