愛されプリンス½





解いて、って言われても…



解けるわけない。


例題なんて真っ黒に塗りつぶされてほとんど読めないし、冷静に「わかりません」なんて言える精神状態でもない。



目が熱い。でも絶対泣きたくない。絶対犯人この中にいるし。




黙ったまま俯いていると、先生の怪訝そうな声がした。




「…村田?何ボーッとして…」



ガタッ…!!!




突然椅子をひく音。



黙ったままの私にざわめいていた教室が一瞬で静まり返る。



顔をあげると、恐ろしい形相をしたみのりが立ちあがっていた。




みのりはそのまま黒板の前まで歩いていくと、チョークをとって物凄い勢いで黒板に数式を書き始めた。




少しして、答まで書き終わったみのりがおもむろにチョークを置いた。





先生がメガネを押し上げる。




「…赤江。何で指名されてないお前が突然例題を解き始めたのかは分からんが。
……始めから終わりまで全部間違ってる」


「………」




みのりは数学が大の苦手だ。




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