愛されプリンス½
「あ…申し訳ありません。試着室に持ち込めるのはおひとり様三点まででしてぇ」
申し訳なさそうに言う店員さんに、天王子の表情にフッ…と憂いが帯びた。
「そうなんですか…すみません、そうとは知らずにワガママを…」
眉を下げ、悲しそうな微笑みを浮かべる天王子。
店員さんの母性本能がギュピーン!と撃ち抜かれたのが分かった。
「い…いえっ!大丈夫です!何点でもオッケーです!」
「え…いいんですか?」
パァッと花が咲いたような笑みを浮かべる天王子。
「ありがとうございます!」
またしても店員さんの目が完全にハートマークになっている。
奴はどうやら、こういう技も使えるらしい。恐ろしい奴だ…。
「つーわけでさっさとしろ?ノロマ」
店員さんに聞こえないよう小声で囁いた天王子が、シャッと勢いよくカーテンをしめた。