愛されプリンス½



「あ…申し訳ありません。試着室に持ち込めるのはおひとり様三点まででしてぇ」


申し訳なさそうに言う店員さんに、天王子の表情にフッ…と憂いが帯びた。



「そうなんですか…すみません、そうとは知らずにワガママを…」


眉を下げ、悲しそうな微笑みを浮かべる天王子。


店員さんの母性本能がギュピーン!と撃ち抜かれたのが分かった。



「い…いえっ!大丈夫です!何点でもオッケーです!」


「え…いいんですか?」



パァッと花が咲いたような笑みを浮かべる天王子。



「ありがとうございます!」



またしても店員さんの目が完全にハートマークになっている。



奴はどうやら、こういう技も使えるらしい。恐ろしい奴だ…。




「つーわけでさっさとしろ?ノロマ」



店員さんに聞こえないよう小声で囁いた天王子が、シャッと勢いよくカーテンをしめた。




< 67 / 420 >

この作品をシェア

pagetop