Campus Love~学内恋愛~
すると、ミヒロが足下にあった切り株を見て、「そうだ、センセー、ある人が、年輪の幅の広い方向は成長が早いから南を向いているに違いないと気付いて、それで助かったという話、聞いたことがありますよ」。



ユウキは、「いや、ミヒロ、それ、たまたまだよ」と言って次のように続けた。



「切り株のある方向で成長量が多いのは、そこで使われた糖の量が多いからと考えられるけど、その糖がその方向でつくられたとは限らない。切り株を見て助かった人は偶然なんだよ」。



「また、急斜面は生えている木はたいてい根元が曲がってる。その場合、針葉樹では斜面の下側で年輪幅が広くなり、濃色で他の部分とはっきり区別できる。いわゆるあて材という異常な部分が形成されるんだ」。



「このような場合は、切り株の年輪幅の広い部分は方角に関係なく斜面の下に面した側になっている。一方、広葉樹の場合は、逆に斜面の上側で年輪幅が広くなるんだよ」。



と、たまには先生っぽいことを言った。
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