天使とエナ
当日の夕方、エナの周りには沢山の人が集まりました。声をかけてくれた子がさらに多くの仲間を集めてくれたのです。
みんなは口々に「最後まで見ててやるからやってみて」「私たちがついてるよ」と言ってくれました。
彼女の目からはまたぽろぽろと涙が溢れました。
大粒の涙が絶えず零れ落ち、止めようとしても止まりません。
こんなにもたくさんの人が私のことを……
そう考えると彼女は今まで以上に強く思ったのです。絶対にこの大空を飛んで見せる、と。


エナは涙をぬぐい、前をしっかりと見据えます。吹き抜ける風が髪の毛を揺らし頰を何度も撫でました。
私だって飛べる。やればできる。
そしてエナはとうとうその一歩を踏み出しました。
ふわり、とした感覚がエナの体を包みます。
ついに彼女は大空に向かって羽ばたいたのです。

その瞬間大きな歓声が湧き上がりました。
エナの仲間たちから発せられた「キャーキャー」と悲鳴にも似たそれが夕方の空に響き渡ります。

おめでとう、おめでとう。
ようやく空を飛べたんだね。
おめでとう、おめでとう。
夢が叶ってよかったね。
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