学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「あ、パーカーありがとう。 助かったよ」
「ううん、全然っ。 ……和真くんが着たパーカー…いくらで売れるかなぁ」
「いやいや売れないでしょ。 俺 一般市民だよ? 普通に汚いって思われて拒絶されるじゃん」
「そう? 私なら100万円で買うけど?」
「ていうか元々育美ちゃんのパーカーじゃん」
なんてことを話しながら、二人で笑い合う。
同じ学校の女子とは割りとよく会話する方だけど、初対面でこんなに笑って話せるなんて 初めてかもしれない。
お互いのことはまだ全然知らないのに、なんか……メチャクチャ楽しいなぁ。
出会い方は微妙な感じだったけど、でも出会えてよかった。
育美ちゃんとなら…きっと この先も楽しく話していける。 って、そう思う。
「和真ぁ、SNS結構荒れてるし、今日はもう帰った方がいいかもしれねーぞ」
少し離れたところに居る円くんが声をかけてきた。
本当は午後まで居るつもりだったけど…仕方ないか。
「円くんっ、せっかく連れてきてくれたのに ごめんねっ」
「気にすんな。 また日を改めて来ようぜ」
「うんっ」
……静かに空を見上げて、ゆっくりと息を吐き出す。
そのあとに再び育美ちゃんへと視線を向けた。