無気力オオカミくんは、私だけに夢中。




.


.





憂鬱な日の1限目に限って数学だったりする。




隣に西野はいない。

また遅刻。いいご身分。




憂鬱な日に限って、お弁当にお箸が入ってなかったりする。


さらに、鈴ちゃんがお昼休みに委員会で呼び出されてら一緒に食べる相手がいなかったりする。



「ごめんね、利奈。売店のおばちゃんのとこにいけば、お箸くれるかもよ」



鈴ちゃんに言われたとおり売店に向かおうかと思ったけど、それほどお腹も減ってないし、なにより1人で歩くと嫉妬した女の子たちに絡まれそうだから、机に座ったままスマホを開いた。



いいことないなあ、とため息をついたと同時、

ガラッと教室の後ろ扉が開く。



──────あ、西野。



男子たちに声をかけられながら、こちらに歩いてくる。

なんとなく気まずくて目を逸らそうとした直前、西野の視線につかまった。




「あ。陸人くんとキスしてたって噂の利奈ちゃん」



机に荷物をおいて、薄く笑った顔で話しかけてくる。


< 211 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop