無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


廊下を走る。


ていうか、放送で呼び出せばよくない?
思いついても、もう遅い。


西野が出ていって、まだそんなに経ってないし。
今ならまだ、あの子と合流する前に追いつけるかも。


だけど、西野がどこで待ち合わせてるのかわからない。


お昼ご飯を食べるなら、相手の教室とか?
いやでも、人目があるところでわざわざ一緒に食べたりしないだろうな。

食堂も考えにくいかも。



考えを巡らせてたどり着いたのは、談話室。

この前、私とサボった場所……。



だけど、扉には【面談中】というプレートがかけられていて、そっと耳を澄ましてみると、たしかに先生と生徒らしい会話が聞こえてきた。


ガックリうなだれる。
ここじゃないんだ……。


もう一度西野が選びそうな場所を考えてみる。



……そういえば、私が数学の補修を受けてる空き教室、お気に入りだって行ってなかったっけ。


クラス棟の端にあって、ひと気も少ないあの教室。

他にあてもないから、足を運んでみると、──────なんとビンゴ。



最初に、西野の背中が見えた。

でもその直後、飛び込んできた光景におもわず目を見張る。


西野の背中にまわった白い腕を見て、目をそらしてしまった。


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