早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
そのまま私は成長し、熱心な家庭教師もどきの久礼先生のおかげで、高校受験も無事成功。

尚くんに合格したことを報告すると、『やったな、キョウ！』と、とても喜んでくれたのはいいが、彼は感極まったのかぎゅうっとハグをかましてきたのだ。

一応年頃の女子だし、男性に抱きしめられた経験なんて皆無だったから、私は結構動揺した。心臓が縄跳びしているかのごとく跳ねたのも、初めてだった気がする。

一方、彼はまったく意識していない様子で、私を妹同然に思っているであろうことは明らかだった。

それを自覚した途端、一瞬にして胸が苦しくなったのはなぜなのか、あのときの私にはまだ理解できなかった。

＊

高校生になったら彼氏を作って、放課後デートをしてみたい。

そんな憧れがずっとあったので、張り切って高校生活を送り始めたものの、いつまで経っても好きな人ができることはなかった。

なんとなく気になるクラスメイトや先輩がいても、楽しく話せたらそれで満足してしまう。

いつの間にか尚くんを基準にするようになっていたらしく、彼以上に一緒にいたいと思える人でなければダメだったのだ。
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