キミの声を聞かせて
そして放課後になり私は先生のマンションの前にいる。
「...急に来たら困らせちゃうかな...」
突然の訪問は迷惑になるだろうか。不安もあったが、ここまで来たら帰るわけにはいかない。私は先生の部屋へのインターホンを押した。すると先生が出た。
「...はい」
「あの、遠野です。お見舞いに来たんですけど...」
「え、あ、ちょっと待って。取り敢えず部屋の前まで来て」
そう言われ私はマンションの中に入る。そして先生の部屋の前に着いた。
10分くらい経った頃だろうか。先生が出てきた。
「遠野...。ごめん...」
「え?」
先生はぐったりしている。
「もう限界...」
「え、ちょっと!」
倒れそうになる先生の体を支える。
「中入りますよ?」
「うん」
先生の部屋に足を踏み入れる。そして先生をベットに寝かせた。
「散らかってたの片付けてたら頭フラッとした...」
「病人が何してるんですか!」
「だってお前にはグチャグチャな部屋見せたくないもん...」
散らかってても気にしないのに...。先生はそういうとこを気にする人なのか...。
「熱どれくらいあるんですか?」
「38度ちょっと」
「めっちゃ高いじゃないですか!何か食べました?」
「...食べてない」
「私何か作りますよ。それまで寝ててください」
「ん...ありがとう」
先生から離れ、私は冷蔵庫を覗く。卵とネギ、そしてお米もある。これならおかゆを作ることが出来る。私は鍋を見つけ、料理し始める。
先生の方を見ると静かに寝ているようだ。私は安心して料理を続けた。

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