ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「イリス、落ち着いて聞いてくれ」

レオンにいつもの余裕はなく、強張った表情で私の二の腕を掴んできた。

やはり、何か起きたんだ。

あの見慣れないオレンジの光の群れと関係しているの?

不安を覚えながら言葉を待つ。

「俺は今すぐこの館を出なくてはならなくなった」

彼の口から出た言葉は衝撃的だった。

「えっ?!」

落ち着けと言われていたのも忘れ、私は高い声を上げてしまう。

だって急に出て行くってなぜなの?

レオンの口ぶりから、私を連れて行く気はないのだと分かる。ついこの前、ずっと一緒に居ようと約束したばかりだと言うのに。

「イリスごめん、今は詳しく説明出来ないんだ」

「どうして?」

「時間がないからだ。でも必ず迎えに来るから信じて待っていてくれ」

レオンが焦ったように性急に言うけれど私の思考はついていかない。

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