ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
馬車の周囲には先ほどまでは居なかった騎士たちが集まっていた。

カイルは馬車の扉を開けると私とリラに中に入るように言った。

「ありがとう。レオンはどれくらいで戻って来そうですか?」

「それ程時間はかからないはずですが」

「分かりました」

避難して来たもののレオンとオリーヴィア様がどんな話をしているのか気になった。

部下の騎士たちがいるし危険はないと思うけど、気持ち的にふたりが一緒にいると落ち着かなかった。

だってオリーヴィア様は私なんかよりずっと綺麗で身分も高くて、それに本人がレオンの妃になることに乗り気だった。

レオンに対しては優しい態度かもしれないもの。レオンが彼女にどんな態度なのかも分からないし、不安になる。

はあと溜息を吐いているとリラの声がした。

「ママ、どーしたの?」

膝に乗せていたリラが心配そうに見上げている。

「何でもないよ」

安心させるように微笑むと、リラは納得できないように首を傾げた。

「ママ、げんきない」

「そんなことないよ」

「そんなことある。泣きそうな顔してるもん。きのうも、もっとまえも」

リラは私が思っている以上に、鋭く敏感なのだと驚いた。

彼女の前では悩みを顔に出さないようにしていたのに、簡単に見破られていたなんて。

「心配かけてごめんね、ちょっと困ったことがあったんだ。でももう解決したから大丈夫だよ」

「ほんとに?」

「うん。本当よ」

「そっか、こまったことがあったらリラにいってね」

真面目な顔をしてリラは言う。

頼もしい台詞を言う幼い娘を私はぎゅっと抱きしめた。

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