その瞳に私を写して
日本から遠く離れた、アメリカ・ニューヨークの地で、雑誌の編集長代理と言う、偉いと言うか、何とも重いと言うか、そんな仕事をしている佐伯麻奈(サエキ マナ)。

恋人である中谷正也(ナカタニ マサヤ)とは、日本にいる時に知り合った。


大学を卒業後、編集の仕事に憧れて就職したけれど、先輩から頼まれた仕事も思うようにできず、夢と現実の間で、悩んでいた麻奈のの心の中に、ツカツカと入りこんできたのが、正也だった。

麻奈と同じ年だというのに、あっという間に、雑誌の専属カメラマンになってしまい、バリバリ仕事をこなしていく。


そして仕舞いには、「おたく、才能ないんじゃないの~」と、麻奈をからかってくる始末。


”才能がない”

そんな言葉が、麻奈の心に、ズドーンと重い石を落としていき、自分は自分で気に入ったものを、どんどんカメラに収めていく。

自分とは住む世界が違う人。

麻奈にとって、正也の印象は、そんな感じだった。
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