その瞳に私を写して
「麻奈さん?」

声のする方に振り返ると、そこには勇平が立っていた。

「今、帰り?今日は一緒だったんだ。」

手には、今日の食材。

勇平は何一つ、変わっていない。


家に入ろうと、指を指す勇平について行き、麻奈はエレベーターに乗る。

「明日からは、私もいろいろ買ってくるね。」

「いいよ。」

「勇平君にだけ、お金出させる事はできないよ。」

「いいから、いいから。」

「いいからじゃないよ。一応私の方が年上なのに。」


そのセリフが、気に障ったのか。

勇平は、しばらく黙ってしまった。


そのまま部屋にある階に着き、エレベーターのドアが開く音が響く。

そのまま二人は、エレベーターを降りた。

この沈黙を破ったのは、勇平の方だった。


「食料は……俺に買わせて。」

「えっ?」

「ほら、家賃とか光熱費は、麻奈さんが払ってくれているだろう?俺の方が、麻奈さんにだけお金を払わせる事はできないってわけ。」
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