その瞳に私を写して
一番苦手な正也と付き合うことになるんだから、世の中分からないと、麻奈は思った。

正也の応援もあり というよりも、正也に負けたくない一心で、麻奈は仕事に打ち込んだ。


そんな二人の立場が逆転したのが つい3ヶ月前。

「俺はもっと有名になって、NYに行くんだ。」

と言っていた正也より先に、NYに転勤になったのは他の誰でもない、麻奈の方だった。


麻奈の出発の日。

空港で、正也はニヤッと笑った。

「先に行って、待ってろよ。」

正也のその笑顔に、嘘はなかった。

「うん。」

麻奈の返事にも、嘘はなかった。


だが何がダメだったのか。

二人は、毎日のように電話した。

メールも使って、マメに連絡も取っていた。


麻奈が日本に帰った時も、正也に会っていたし、相手も麻奈の家に遊びに来てくれた。

それでも、ダメなものはダメだったのだろう。

5年続いた、二人の恋は終わりを告げた。
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