その瞳に私を写して
でもその二人の気持ちも、誰かに仕組まれたものだったとしたら?

自分の気持ちでさえ、本当だったのか疑ってしまう。


だから麻奈は、言ってほしかった。

正也が知っていたのは偶然だって、そう、勇平辺りがついしゃべってしまったとか、正也に恋愛相談でもしてたとか。

そして勇平を好きになったこの気持ちが、誰かに仕組まれたものじゃなくて、自然に起こったものだって。


「何でそこに、こだわるかな。」

勇平は、半ば呆れたように、ソファに座った。

「中谷先輩の事、忘れる必要はないって言ったけれど、そんなに気にするんだったら、忘れた方がいいんじゃないの?」

「何それ。」

「その方が、気が楽でしょ?麻奈さんも。」


気が楽……

自分が正也の事忘れてないから、そんな事、気にするんだとでも言いたいのか?


「さあ。この話ももう終わり。お酒でも飲んで、嫌な事忘れたら?ワイン持ってくるよ。」
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