その瞳に私を写して
顔を上げた勇平。

「手に入れるまでは、気に入ってもらえるように、自分を良くみせようと大きく振舞うが、いざ、手に入ると今度は嫌われないように、縮こまっていたんじゃないのか?」

「えっ……」

勇平の胸に、何かが刺さった。

図星だと思ったからだ。


「それにさ、俺に言ったろ?」

「先輩に?」

「俺は、麻奈を幸せにできないって。」


勇平は、日本にいた時の事を思い出した。

正也と麻奈さんが付き合っている時から、勇平は麻奈の事が好きだった。


だけど奪い取ろうと思ってたわけじゃない。

麻奈が笑顔でいてくれれば、それでよかった。


麻奈は、麻奈なりに先輩を愛していたし。

正也は、正也なりに麻奈を愛していたから。

それをどうこう言うつもりは、勇平にはなかった。


だが、年数が経つに連れて、二人の糸は絡まっていく。
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